久しぶりに演劇。
ストーリーに惹かれて、見に行きました。
田中哲司さんの演技も楽しみでした。
ハリウッドの大手映画製作会社が舞台になっていて、田中哲司さん演じる大物プロデューサー、バディ・アッカーマンと、田中圭さん演じるアシスタントのガイ、野波麻帆さん演じるフリーランスの映画プロデューサーでガイの恋人になるドーン・ロッカード、が中心になってお話が進んでいきます。
(以下は個人的な感想です。)
大物プロデューサーのバディ・アッカーマンはパワハラ、セクハラ当たり前、俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの、上には媚びるけどアシスタントは奴隷だと言わんばかり、ワガママで切れキャラ全開の大物プロデューサー、さらなる高みを目指して、平気で嘘をつく悪い奴。
でも、すがすがしいぐらいに貪欲で、嘘をつきまくってでも帳尻を合わせてしまう賢さ、そして最後まで諦めない粘りと強気。
嫌なヤツにはなりたくないけど、憧れてしまうぐらいに自分の欲求に全開でタフ。
アシスタントのガイは酷い仕打ちに傷つきながらも大物プロデューサーから学び、心を壊しそうになりながらも、その世界での生き方を身につけていく。
恋人のドーンはガイの清らかな心に羽根を休めようとしてみたり、ガイを利用しようとしてみたり、映画製作の世界で自分の居場所を求め、欲と嘘にまみれた人間模様の中を生きている。
最後までわからない結末、信じないと思いながら信じてしまう・・・、愛してると言いながら信じきれない、、、スピードのある濃厚な舞台に引き込まれました。
そうなるのかー!!という結末。
その結末を越えてもタフでウソつきであり続ける大物プロデューサー、変わらなさに信頼すらわいてしまう。
その世界での生き方を学んで変わったガイ。
これから出世するんだろうなぁと予想。
ドーンの強気な生き方に共感したり、共感出来なかったり、強さの中にある弱さ、女性らしさを可愛く思ったりしました。
強く賢く、しなやかに、そしてタフに。
「サメ」と泳いで「サメ」になっていくのか。
それとも誰もが内包している「サメ」を解放していくのか。
「こういう女の人いるいるー」っていうぐらいあからさまに「女」を使って権力に擦り寄るミッツィ、友だちを利用して人生の扉を開くジャックなど、登場人物一人一人に与えられている生き方、役割も意味深く、きっと昔は悪いことしまくってただろうに急に孫の言うことを聞いてしまう会長は笑ってしまうぐらいだった。
濃さは違えど、どこの世界を切り取っても似たようなことはあり得ること。
その時、どう生きるのか。
どのキャラクターに自分を重ねるのか。
違う選択肢はあったのか。
バディ・アッカーマンのセリフ「お前は何が欲しい?」は、見ている自分にも問われているような気がしました。
自分にとって意味のある舞台だったと思います。とても面白かったです。